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原告勝訴の判決

3月29日、さいたま地裁にて原告勝訴の判決が言い渡されました。原告団・弁護団声明、判決骨子、判決全文を掲載します。

 

声     明 

 

生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求訴訟・さいたま地裁判決について 

 

                2023年(令和5年)3月29日 

生活保護基準引下げ違憲訴訟埼玉原告団 

生活保護基準引下げ違憲訴訟埼玉弁護団 

いのちのとりで裁判全国アクション 

生活保護引き下げにNO!全国争訟ネット 


本日、さいたま地方裁判所第4民事部(倉澤守春裁判長)は、生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求訴訟において、生活保護基準引下げ処分を取り消せという原告らの請求を認容する判決を言い渡した。 

 

本裁判は、埼玉県内の生活保護利用者35名(提訴時)が、国、埼玉県、さいたま市、新座市、上尾市、越谷市、川越市、春日部市、草加市、熊谷市及び北本市を被告として、2013年から3回に分けて行われた生活保護基準の見直しを理由とする保護変更決定処分(生活扶助基準の引下げ)の取消しと国家賠償を求めた裁判である。 

 

全国29地裁で提起された同種訴訟では、生活保護基準引下げ処分の取消しを認容した判決は、2021年2月22日の大阪地裁判決、2022年5月25日の熊本地裁判決、同年6月24日の東京地裁判決、同年10月19日の横浜地裁判決、2023年2月10日の宮崎地裁判決、同年3月24日の青森地裁判決及び和歌山地裁判決に続き8件目である。 

 

本判決では、老齢加算最高裁判決の規範を無視し、いわゆる「デフレ調整」については、すべての論点について国の主張を鵜呑みにして、厚労大臣の判断が裁量権の範囲の逸脱・濫用には当たらないとしたが、いわゆる「ゆがみ調整」について、平成25年検証の過程に不合理な点があったとはいえないが、検証結果を2分の1に限って反映させた処理について、格差を是正するというゆがみ調整の趣旨と相容れない面があるから、厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱・濫用に当たる、と判断した。 

 

本判決は、原告らの置かれた厳しい生活実態を真摯に受け止め、国が行った生活保護基準の引下げを問題とし、裁量権の逸脱・濫用を認めた。憲法25条の定める健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障する勝訴判決である。 

 

生活保護制度は他の諸制度や諸施策と連動しており、保護基準はナショナルミニマム(国民的最低限)として生活全般に極めて重大な影響を及ぼす。格差と貧困が拡大固定化する中で、新型コロナウイルス感染症の拡大は、現在の社会保障制度の脆弱さを浮き彫りにするとともに、最後のセーフティネットとしての生活保護の重要性を明らかにした。 

 

私たちは、国に対し、本判決の意義を重く受け止め、控訴せず本判決を確定させることを求める。加えて、違法に生活扶助費を下げられた生活保護利用者に対して真摯に謝罪し、その健康で文化的な生活を保障するため、2013年引下げ前の生活保護基準に直ちに戻すことを求める。 

 

 

以上 

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