すべてのくらしは憲法25条から 第３回埼玉集会
安心して暮らせる埼玉へ450人が集結
幸福を分かち合おう
去る５月11 日，埼玉会館小ホールにて，「すべてのくらしは憲法25条から 第３回埼玉集会」が開かれました．埼玉集会は，2016年11月，2018年３月に続いて第３回目となります．実行委員会団体も徐々に広がり，今回は20 団体で組織して準備を進めてきました．当日は，450人もの人が集まりました．
開会に先立ち，寺久保光良共同代表より，基調講演の講師変更のお詫びが伝えられました．予定された金子勝氏（立教大学大学院特任教授）がお怪我をされ，急遽，本田宏先生（医療制度研究会副理事長）が講師をされることになりました．
開会では，小林直哉共同代表（埼玉県労働者福祉協議会理事長）より，世界でも日本でも格差と貧困が広がっていることが話されました．日本でも富裕層の税負担が軽すぎであり，富裕層に0.5％課税すれば，330万人の命を救うことができるのだそうです．しかし，働く貧困層も増加しているせいか，生活保護への厳しい空気がある，貧困層が足を引っ張り合うことに歯止めをかけるのが憲法25 条であり，欲望の奪い合いではなく幸福を分かち合おう，と呼びかけました．
不安は強まるばかり
リレートークでは，高齢分野から子ども，障害などの分野から５人が発言しました．
花俣ふみ子氏（認知症の人と家族の会埼玉県本部）より，高齢分野では，利用制限，負担増，重度偏重・軽度者外しが進んでおり，不安は強まるばかり，と話されました．さらに国は，介護保険の利用料３割負担，ケアプラン作成の有料化を検討しており，よりハードルの高いものにしようとしています．
金子由美子氏（さいたまユースサポートネット）より，冒頭，さいたま市では学習支援事業が突如入札になり，４月より大手塾産業に代わられたと報告．300人の中高生の支援を行ない，卒業アルバムが買えない，上履きを買い換えるのが大変，といった子どもたちがいました．子どもたちのセーフティネットを，と呼びかけました．
牧裕子（やすこ）氏（埼玉県保育問題協議会）からは，子どもの権利条約を日本が批准して25年になるが，日本の子どもに貧困と格差が広がっていると指摘．国は，消費税増税と共に「 保育無償化」を掲げているが，食材費は一律保護者負担になるため，所得の低い層で負担増になるとのことです．埼玉県には 2000 人以上の待機児がいる一方，保育士の労働条件はよくならない．子どもたちや働く保育士や親たちの厳しい状況が伝わりました．
明日の私の問題
田中一（はじめ）氏（埼玉県障害者協議会）は，日本は，障害者権利条約を2014年に批准，一方で「優生思想」がまだまだ払拭されていないと指摘しました．埼玉県で教職人が約２万人いる中で障害者は 384 人のみ．障害者の問題は「明日の私の問題」と考えてもらいたいと話されました．
生活保護基準引下げ違憲訴訟の埼玉の原告でもある濱田道子氏（大宮生活と健康を守る会）も登壇．卵は１か月に10個と決めている，など切実な状況を伝えつつ，「最低限度の生活」とは何か，ただ生きるだけで精一杯が文化的なのか，食べて空気を吸うだけが最低限度なのかと投げかけました．
憲法25条をみんなのものに
基調講演は，本田宏氏（医療制度研究会）より，「明治，大正，昭和，平成，そして令和！日本の社会保障を 良くするためにどうする 」というテーマで，医師不足，医療費抑制の状況など話されました．社会保障崩壊のルーツを，明治維新から遡って伝えつつ，社会保障のあり方や選挙 の投票率など 欧米との 違いもわかりやすく述べられました．
連合埼玉（日本労働組合総連合会埼玉連合会 ），埼労連（埼玉県労働組合連合会）から連帯メッセージが述べられました．生活保護は当事者だけでなく，労働者にも関わる問題であること，政策によって貧困が作られている状況で連帯の必要性を確認しました．
終わりに，実行委員会の紹介を岩岡宏保氏（埼玉県生活協同組合連合会）が行ない集会アピールが 採択されました．柴田泰彦氏（埼玉県社会保障推進協議会）より，「当事者が主人公になるという思いで，元気に明るく頑張って行きましょう」と呼び掛けられ，閉会となりました．
第19回口頭弁論期日
2019年10月30日（水）14:30～ さいたま地裁
＊一斉アピール行動11:30～浦和駅前 傍聴には13:40までに並びましょう
＊裁判も佳境を迎えています．多くの人に呼び掛けていきましょう
