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<第18号>くらしの最低保障引下げにNO!

第17回期日 生活保護基準引下げは明らかに憲法違反

ドイツ判決の審査基準を参考に

「米騒動」の熱気を共有して

去る3月6日、さいたま地裁にて第17回口頭弁論期日が開かれました。これに先立って、浦和駅前で50人近い人たちでアピール行動を行いました。裁判の傍聴には、96人がかけつけ抽選を待ちました。

 

裁判と並行して、さいたま共済会館にて応援集会を開き、「おかしさ」に気づいていく人々の姿を共有しようと、大正時代に起きた「米騒動」について、DVD鑑賞を通じて共有しました。

 

「どうしてこんなにお米はあるのに、自分たちには回ってこないのか」と疑問に感じた「おかか」たちの小さな行動、そして、当時の経済のあり方のおかしさを見抜いたジャーナリストの行動から全国に広がっていきました。

 

人々のエネルギーに刺激を受けつつ、誰でも、どこからでもおかしいことは「おかしい」と声を上げ、行動していく大切さを改めて学びました。

 

ドイツでの違憲判決

今回の裁判では、ドイツの違憲判決とされた判例について、生活保護基準引下げが違法・違憲ではないと主張する国の誤りについて訴えました。

 

2010 年2 月に、ドイツでは日本の生活保護の生活扶助費に類似した生活保障基準給付について、「需要調査及び算定方法に追体験の可能性がなく、正当化できない」、よってドイツ基本法(憲法)違反と示しました。判決後、基準額設定に関する法律が定められ、手続きの透明化が図られました。日本で2013 年から始まった引下げについては減額の根拠について十分に明らかにされたとは言い難く、「追体験可能」なものとはいえません。

 

もう1つは、これまで国が「引下げは適法」と主張してきた点について、旧生活保護法は、行政が自由に設定できることになっていたが、現行の生活保護制度では、要保護者の需要を満たすに十分なものとされている。確実に最低生活を上回ることが必要だということを、学者の意見も併せて主張しました。

 

今から食費が上がっているのに…

続いて原告から近況や裁判の感想が語られました。

「原告の中でも具合が悪くなったりしている人がいて、出席できる人が少なくなってきている。判決も近づいてきているようなので、応援よろしくお願いします」

 

「精神障害があって、暮らしづらさ、働きづらさを抱えている。生活保護制度がなければ生きてこられなかったし、生活できない。これ以上改悪させないためにも、みなさん応援してください」

 

「去年の 10 月から、また生活保護が引き下げられました。裁判をやっている最中に、また引下げなんて、なんなのかな、といつも思う。生活保護が下がれば、最低賃金もあがっていかない。大きなところは上げていけるだろうけど、小さな事業所で働くパートさんたちは、ちっともあがらない、という話を聞いた。国はそういう人たちをどういうふうに支援していくのだろう。この裁判を勝利に導くために一生懸命頑張ります」

 

「消費税が上がるけれども、今から食費の値段が上がっています。生活保護費が追いつきません。クーポン券が配られたとしても、1000円以上じゃなきゃ使えなかったり、実態に合わない。みんなが健康で文化的な生活ができるようがんばっていきたい」

 

「裁判でこちらが求釈明で問いかけているのに、国からはまともな反論が返ってこない。国会でも大臣もまともな答えが返ってこない、似た状態。これからさらに生活保護が下げられ、不安。社会保障全体が引き下げられている。なんとか食い止めたい」

 

終わりに寺久保代表より、「米騒動の頃と時代状況がよく似ている。成金がいて、一方で大変な思いをしている人たちがいる。国民が大正デモクラシーを作り上げ、軍人の内閣を倒して、民間から選ばれた内閣になった。社会を変えるような運動に結び付けていきたい」と締めくくりました。

 

第18回口頭弁論期日

2019年7月3日(水)14:30~ さいたま地裁

*一斉アピール行動11:30~浦和駅前 傍聴には13:40までに並びましょう

*裁判も佳境を迎えています。多くの人に呼び掛けていきましょう 

 

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くらしの最低保障引下げにNO!<第18号>
2019年5月1日
発行:生活保護基準引下げ反対埼玉連絡会
News_18.pdf
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