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<第13号>くらしの最低保障引下げにNO!

第7回口頭弁論期日・応援集会

「生活保護基準は本当に適正なものでしょうか」

集会で2人の原告が語る

7月13日、生活保護基準引下げ違憲訴訟第7回口頭弁論期日がさいたま地方裁判所で開かれました。11時から浦和駅前にてアピール行動を行ない、70人もの人たちでちらしを配りました。その後地裁前には、51席の傍聴券を127人の人が並びました。14時から口頭弁論開始、並行して埼佛会館にて集会を開き今回の裁判の内容を共有しました。

 

裁判は30分ほどで閉廷、原告・弁護団の人たちを迎えて裁判の報告が行われました。また、2人の原告から暮らしぶりや裁判への思いが語られました。一部をご紹介します。

 

「目の病気から糖尿が分かり仕事を辞めました。母が胃がんで亡くなり、父が痴ほう症にかかったいろんなことがあった年でした。仕事を始める病気を悪化させ、生活保護を受けることになりました。

 

妻と子ども3人で5人暮らしでしたが、1人が専門学校へいくというので世帯分離され、4人分しか生保が出なくなりました。日々一生懸命暮らしてきました。子ども2人が自立し、今は3人家族の世帯です。

 

妻は時給800円台。私も若干の収入を得ていますが、生保から抜け出していません。期末一時金は約3万円程度減り、勤労者特別手当が7万円減らされました。何の蓄えもなく、見切り品を買い、暖房は使わず、湯船に浸かるのも1週間に1度。一番下の子は中学校3年生で、北辰テスト代やらでお金がかかります。高校へ進学するには多大なお金が必要で、奨学金を借りなければ学校に行くことができません。

 

しかし、独立した長女、次女は手取り15万円程、食費払ってやっとの状態。奨学金の返済も大変です。様々な悪条件が重なって生活保護を受けることになりました。子どもに我慢させてばかり。絶望や人生の終わりを感じてしまいます。原告みんな頑張りますので、応援してほしい。お願いします」

 

「何年も湯船には浸からず、シャワーで済ませています。お風呂がないわけではなく、お金がかかるのです。自分が匂わないか気にしながらの外出。自分がみじめに思います。

 

少しでも安いものを求め、スーパーやドラッグストアへ行きますが、うつの時は高熱のような状態。頭は朦朧とします。ひどいときは、照明が刺激になり1日中横になっています。連日猛暑日が続くときは、29度設定でエアコンを20分つけ、2時間止める、を繰り返します。明らかに体調に良くないですが、お金を取るか、体調をとるか。本来必要な治療が万全ではない。

 

外出の時は空のペットボトルを持ち歩き、駅や公園の水を入れています。周囲から奇異の目を見られ、知人からも絶句されました。日々の生活で余裕がないので、友人からの誘いは行けず、事情を知っている友人は誘ってくれなくなりました。冠婚葬祭でもご祝儀やお香典、適した服装など賄うことが難しい。

 

このような当事者の実情を理解されないまま、生活保護基準が3段階に渡って引き下げられました。保護基準の適正は、どのようなものでしょうか。この国の人の生活は、どのくらい貧しいものなのでしょうか。ぜいたくを言っているのではなく、ごく普通の生活を求めているのです」

 

報告 第6回口頭弁論期日

4月6日,第6回口頭弁論期日が開かれました.浦和駅東西口には,約70人でアピール.県内の2つの労働組合より応援スピーチをいただきました.132人が傍聴整理券を受け取り,締め切り後もかけつけた人がおり,150人ほどの人が傍聴希望に集まりました.

14時からの裁判と並行して集会を始め,閉廷後は,原告・弁護団を迎え入れての報告が行われました.また,生存権裁判について学びを深めようと,寺久保光良代表から「堀木訴訟」について報告がありました。

 

<全盲の母の願いと闘い―堀木訴訟>

堀木フミ子さんは幼少時に失明、夫と離別後も2人の子を育てました。障害者年金を受給中、児童扶養手当を申請したところ「併給禁止」との理由で却下、不服申立てし裁判に至ります。

 

傍聴には視覚障害のある人も多く参加し、盲導犬、手話通訳など障害のある人たちの裁判をする権利、傍聴する権利が認められるようになりました。

 

一審で勝訴、兵庫県議会・京都府議会では「併給禁止条項の改正」を決め、国も児童福祉法を改正し実質的には堀木さんの要求が実現しました。

 

しかしながら最高裁では「憲法第25条には救貧と防貧があり、手当は防貧で立法府に裁量があり憲法違反にはならない」という屁理屈のような国の主張が通り敗訴。しかし、結果的には多くの人たちの権利を実現しました。

 

裁判ではどんなことを主張しているの?(第6回・第7回期日から)

3段階に渡る引下げで総額670億円、そのうち580億円は物価下落という理由、残り90億円は、所得層を10層に分け一番所得の低い層(第1十分位)と比較し、生活保護世帯の方がやや高いという理由で下げたとされています(「歪み調整」)。

 

生活保護基準は厚生労働大臣が決める裁量がありますが、元々ぎりぎりの生活費であり、専門家による十分な検証が必要とされています。

 

しかしながら今回の引下げは、これまでの方式を変え専門部会でも検討されていない方法で行われました。また、第1十分位との比較は、生活保護を受けられる状況でありながら受けていない人も含まれ、際限ない引下げを招き、統計学上でも問題があります。

 

第8回 口頭弁論期日

2016年10月19日(水) 14:00~ さいたま地裁

*一斉アピール行動11:00~浦和駅前 傍聴には13:30 までに並びましょう。

*第9回口頭弁論期日は 2017 年1 月25 日(水)です。 

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くらしの最低保障引下げにNO!<第13号>
2016年7月25日
発行:生活保護基準引下げ反対埼玉連絡会
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