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<第11号>くらしの最低保障引下げにNO!

生活保護基準引下げ違憲訴訟第4回口頭弁論期日

憲法25条を守ろう

生保引下げはみんなの問題!広がる共感の輪

10月21日、生活保護基準引下げ違憲訴訟第4回口頭弁論期日が開かれました。

 

当日は、11時半からJR浦和駅で総勢90人の人たちでアピール。埼玉県社会保障推進協議会、日本労働組合総連合会埼玉県連合会、埼玉県労働組合連合会からもスピーチいただき、労働者の置かれている厳しい状況であること、社会保障の危機を迎えていることなど訴えられました。憲法25条を守りぬく運動に向けて、連帯の広がりを感じられました。

 

アピールは西口、東口で行いましたが、参加した人たちからは「回を重ねるごとにちらしを受け取る人たちも増えていると感じる」と理解の輪が広がっていることを実感しています。

 

傍聴整理券を求めて172人!

さいたま地裁前には、51席の傍聴券を求めて多くの人たちが集まりました。14時に列に並ぶのを締め切られ、15人が地裁前の門で止められてしまいました。配布された傍聴整理券は157枚に及びました。

「生活保護基準引下げ違憲処分取消等請求事件」第4回口頭弁論は14時30分から始まりました。並行して、埼佛会館にて集会が行われました。

 

「健康で文化的な生活限度の生活を営む権利」を

集会では、原告が主張する内容について、弁護団の北川弁護士、若生弁護士より説明がありました。

 

まずは、憲法25条の面から。憲法25条1項は「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めています。1人1人に「健康で文化的な最低限度の生活」をしていくことを「権利」として保障しています。原告1人1人の生活をみれば,憲法25条に違反します。

 

また、憲法は国を縛る側面もありますが、国はしっかりとした説明もせずに生活保護基準の引下げを行っており、憲法25条に違反します。

 

世界の国々と約束した「社会権規約」から

もう1つは、社会権規約の面から。憲法98条で、日本は世界の国々と約束した国際法規を守ることになっています。

 

1979年、社会権規約(「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」)を日本も取り入れて守ることを確認(批准)しました。社会保障の権利について「だんだんと達成していきましょう」と定め、今行っている制度よりも水準を下げるような行為は禁止されています。

 

この面から生活保護基準を下げてしまうことは条約違反なのではないかと指摘しました。

 

「子どもの夢を叶えてあげたい」

生活保護を利用している人から、生活の実態が語られました。子どもを持つ30代女性からは「子どもに友達を同じおもちゃを買ってあげられない。同世代の男の子と同じ洋服を着せてあげたい。たまには肉をお腹いっぱい食べさせてあげたい…せめて高校は出してあげたい。夢も叶えてあげたい」と切実な思いが語られました。

 

蕨市に住む男性は、「蕨市は生活保護受給率が高く、それはしっかりと生活保障しているという意味で誇れることだと思うが、『恥ずかしい』と削減の動きになってきている」。「古いアパートもなくそうという声もあり、非常に心配」と危惧しました。

 

「健康で文化的な生活」を実現していくために

裁判後、原告・弁護団が戻り報告がなされました。中山弁護団長より「弁護士たちも『25条バッジ』をつけて出席した。今日初めて憲法論が登場し、それを裏付けるのはみなさんの生活実態であることを強調してきた。最後まで闘っていきましょう」とあいさつがありました。

 

原告からは、「文化的生活とは何か。子どもに携帯電話を持たせるかどうかも我が家では大きな問題。最後判決が出るまで、自分の体をいたわりつつ負けないように頑張っていきたい」。「生活は苦しくなる一方で、本当にこれが『健康で文化的な生活』なのか。裁判で訴え続けていきたい」と話されました。

 

国民全体に関わる問題としてつながっていこう

集会にかけつけた人たちからも応援のメッセージをいただきました。

 【埼玉県労働組合連合会】船橋氏

「宣伝行動にも参加しましたが、ちらしの受け取りも非常に良かったように感じます。この裁判の意味やなすべき方向があれば、この運動は動いていくだろうと感じます。「自らのこと」と感じてもらえるよう、引き続き頑張っていきましょう」。

 

【全日本年金者組合埼玉支部】川村氏

「年金問題でも3年で9%引下げられます。埼玉で61人、全国で4,000人の人たちが原告に立ち上がっています。共に頑張っていきましょう」。

 

【埼玉県障害者協議会】中平氏

「障害のある人のみならず、国民全体にかかわる問題。今後の社会の動きを問うものとなると思います。障害者団体の学習会で、ハンセン病患者の平澤保治さんが『小さい力を合わせて社会を変えていこう』と訴えられていた。私も頑張っていきたい」。

 

【埼玉県障害者の生活と権利を守る埼玉県民連絡協会】若山氏

「障害者団体として、親亡きあとがどうなるのか、この裁判を通して学びながら頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします」。

寺久保代表から、「裁判の内容が難しいかな、と感じる部分もあるかもしれませんが、私たちは勉強していって成長していく。それが世論を動かしていくことになります。楽しく勉強していけたらいいと思います」とあいさつがありました。

 

翌週には、憲法25条を柱にした集会としては初めて開かれる「10.28生活保護アクションin日比谷」が控えます。「賑やかに楽しく運動していきましょう」と呼びかけ、閉会しました。

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くらしの最低保障引下げにNO!<第11号>
2015年10月27日
発行:生活保護基準引下げ反対埼玉連絡会
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