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<第8号>くらしの最低保障引下げにNO!

くらしの最低保障引下げにNO!集会(第3弾)

-「わたしの居場所を奪わないで!」4・29市民集会-

263人が集う!

4月の3回目の生活保護基準引下げと、住宅扶助と冬季加算が今年切下がるという国が打ち出した事をうけて、4月29日、埼玉共済会館で「くらしの最低保障引下げにNO!『わたしの居場所を奪わないで!』4.29市民集会~」を開催しました。263人が会場を埋めつくしました。 

 

今回の集会の後援には、埼玉弁護士会、埼玉司法書士会の他に、埼玉県労働者福祉協議会、日本労働組合総連合会埼玉県連合会、埼玉県労働組合連合会と、労働組合からも応援いただきました。

 

生活保護引下げは国民への「トリプルパンチ」

基調講演には認定NPO法人自立生活サポートセンターもやいの稲葉剛理事が「貧困は自己責任?貧困の現場から社会を変える~」と題して話されました。

 

生活扶助基準の引き下げに加え住宅扶助基準や冬季加算が引き下げは「トリプルパンチ」として、第1の被害として生活保護利用者の生活悪化、第2の被害としてボーダー層を保護から排除すること、第3の被害として他の貧困対策(就学援助、地方税の非課税水準)や最低賃金の抑制につながるなど幅広く国民に影響することを指摘しました。

 

貧困と闘うべきは国

稲葉さんは、また、安倍政権の政策の矛盾を指摘しました。安倍政権は、貧困の世代間連鎖に対し「子どもの貧困対策推進法」を策定し「子供の未来応援国民運動」なぞ立ち上げつつ、一方で生活保護削減を断行、就学援助を後退させ、扶養義務者への圧力を強め実際には貧困の連鎖を強化しています。

 

生活扶助費引下げによって、交際費を切り詰めざるを得ず、高齢者などの社会孤立を招いています。また、障害者の地域移行をいいつつ、住宅扶助基準の引き下げは、地域での暮らす場の確保を狭めることにつながります。

 

生活保護基準は「社会保障の岩盤」(最低生活費)と「いのちの最終ライン」(貧困との闘いの最終防衛ライン)であり、その基準を下げることは「貧困」の定義を変え、防衛ラインを下げることにつながります。

 

稲葉氏は、憲法25条2項の国の義務に触れ「本来、貧困と闘うべきは国。しかし、国は貧困を拡大している」と批判しました。

 

私たち抜きに私たちのことを決めないで

一昨年8月の生活保護基準引下げに対する1万人の不服審査請求から、違憲訴訟が埼玉県をはじめ20地裁で行われています。

 

「社会保障の岩盤」「いのちの最終ライン」を守ることは、自らの権利を主張することが他者の権利を守り、社会全体につながっていることを強調。

 

障害分野では、障害者権利条約が「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と当事者主体で策定されてきたことに触れ、当事者が声を上げていくことの重要さを訴えました。

 

生活保護利用当事者の声を伝える漫画や、当事者による書籍が続々と発行され、生活保護の問題への関心が広がってきています。

 

生活保護基準引下げ違憲訴訟を支援する「引き下げアカン!大阪の会」の「ヤカン、ミカン、アツカン(熱燗)」のキャラクターを紹介し、埼玉でもぜひユニークなキャラクターを、と元気の出る運動に向けエールを送りました。

 

子どもたちの夢をあきらめさせないで

生活保護を利用する人から、生活の実態が語られました。自ら疾患を抱え、またお子さんも疾患があるというお母さんから、「生活扶助が下がり、お母さん同士のお茶会は遠慮するようになった。学費も厳しく子どもに夢をあきらめさせたくないという思いはあるが、子どもは「お母さんを幸せにしたい」という」と胸に詰まる話がありました。

 

また、「生活が厳しい、引下げはやめて欲しい」という訴え、障害のある人からは「今までタクシー券が配布されていたが通知なしに配布されなくなり、外出する手段が奪われた。生活保護も下がってますます外出の機会が減ってしまう」と切実な状況が語られました。

 

連帯の輪を広げよう

各方面からも発言をいただきました。埼玉県労働者福祉協議会事務局長永田信雄氏から「フードバンク埼玉(仮称)」の取り組みが紹介され、生保申請から受給まで食べるものがない人への支援が紹介されました。委託されている市町村がまだまだ少ない中で、もっとニードがあると話されました。

 

埼玉県労働組合連合会議長柴田康彦氏は、自らの体験を交え「生活保護を受給するのは恥ずかしいこと」ではないと励ましのメッセージが送られました。

 

不動産業者から、住宅扶助が切り下げられると転居指導が行われるが、今の家賃より低いところの物件はなかなかないこと、また今の住居環境を維持する物件、車イスが利用できるバリアフリーの物件を探すのは至難の業であることも話されました。

 

福祉関係職員から、1人1人の相談に乗りきれない葛藤を抱えながら仕事をしている現状も出されました。

 

生活保護引下げ問題を多くの人たちに伝え、共に取り組んで行こうと「集会アピール」を採択し、閉会しました。集会後、無料法律相談会が行なわれ、弁護士・司法書士が相談を受けました。

 

審査請求やってみよう

第1回目の切り下げに大して全国で10,654件、埼玉では369件の審査請求が行われました。まず「生活扶助が下がって、生活が苦しくなった」と声をあげることが大切です。

 

埼玉連絡会では、5月15日に一斉審査請求の統一日を行なうことにしました。心配や悩んでおられる方は、連絡会にお電話下さい。支援者、弁護士、司法書士が相談にのります。あなたも一緒に声をあげていきましょう!!

 

4月生活保護基準引下げ 審査請求埼玉一斉行動

2015年5月15日(金)13:00~ 埼佛会館

13:15 審査請求書提出 13:30 埼玉一斉審査請求集会 14:20 記者会見 

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くらしの最低保障引下げにNO!<第8号>
2015年5月7日
発行:生活保護基準引下げ反対埼玉連絡会
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